ヘリコバクターピロリは主に水を介して5才までに感染する感染症です。この細菌は胃の中に住んでいます。胃の中は強酸性、塩酸と同じくらいの環境ですから普通の細菌は住めませんが、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は胃粘膜に生息しています。
ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を出して、自分の周りにアルカリ性のアンモニアを作り出すことで、胃酸を中和しながら、胃の中に存在しています。
日本人の場合、年齢が高い方ほどピロリ菌に感染している率が高く、60歳代以上の方の60%以上が感染しているといわれています。これは、水道水などの上下水道環境がまだ整っていなかった時期に幼少期を過ごしたためではないかとされています。実際、衛生環境が整った頃に生まれた若い人たちの場合、感染率が低くなっています。
ただ近年は親子間で感染する可能性についても研究されております。口腔内からもピロリ菌は検出されており、小さなお子さまに濃厚に接触する機会が御座いますと感染させてしまう危険性も示唆されております。
また、ピロリ菌に感染しているだけでは、症状などは出ませんが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎の患者さんはピロリ菌に感染している方が多く、ピロリ菌が胃や十二指腸の炎症やがんの発生に関わっていると考えられています。
ピロリ菌を除菌すると、胃や十二指腸の病気になったり、これらの病気が再発しにくくなることから、現在では、感染しているかどうかを高い精度で診断する検査方法が、普及しています。もし、ピロリ菌に感染していることが分かった場合は、積極的に除菌することが推奨されています。