下痢や便秘、膨満感や腹痛など、下腹部の不快な症状が継続的に生じているにも関わらず、炎症や潰瘍などの構造的、形態的疾患が認められない時、これを過敏性腸症候群と呼んでいます。先進国に増えているうえ20~40歳代に多く見られるもので、女性がやや多めです。原因は定かではありませんが、ストレス、知覚過敏、消化管の運動異常などと推定されます。
過敏性腸症候群は、症状のタイプにより、下痢型、便秘型、混合型、分類不能型に分けられます。
最大の原因はストレスですが、多くの場合、大腸などの消化管運動の異常、不適切な生活サイクルや食生活などが重なって発症するとされます。治療は、夜間の大食や脂肪分、刺激物の多い食事を避けるといった食生活の改善のほか投薬治療も行われます。
診断は自覚症状を基に行う、「RomeⅣ基準」により行われます。排便頻度や便の形状、腹痛と排便の関係性などの要素により診断されます。
診断を行う際には血液検査、便潜血検査、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)などの各種検査を必要に応じて行い、大腸がんや炎症性の腸疾患などの他の疾患でないことを確認しておくことが重要です。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)の検査を受け、多くの方が痛みをうったえる内容は、大腸が伸縮する場合、空気が入って痛い場合です。当院では院長が25年続けている軸保持短縮法を用いてできるだけ伸展させない挿入方法を用いております。空気が入って痛い方は、体内に吸収が早いガスを用いておりますので、お腹が張る感じは長く続かないように工夫しております。鎮痛剤、鎮静剤を使用する方法も有効勿論有効ですのでご相談ください。
*基礎疾患、アレルギーなどにてご使用できない方もいらっしゃいますのでご了承ください。
治療ですが、生活習慣の改善をベースに、食事、運動、薬物のそれぞれの療法を組み合わせて取り組む事となります。食事療法では、刺激物を避けながら食物繊維を積極的に摂取します。運動療法では、適度な運動を取り入れ、腸の動きを整えます。薬物療法では、神経伝達物質、セロトニンをコントロールします。それら以外にも、便に含まれる水分量の調節や乳酸菌製剤、緩下剤などが用いられます。